入札参加資格とは?資格の種類から申請方法まで解説

国や地方自治体などの入札に参加したい!と思った場合、まず最初にしなければいけないことが、入札参加資格の取得です。その為、入札参加資格について理解することが、入札参加の第一歩となります。本記事では、入札参加資格について、知っておくべきポイントを10分で抑える事ができるように、どこよりもわかりやすく解説していきます。

目次

入札参加資格とは?

入札参加資格とは、読んで字のごとく、入札に参加するための資格のことです。入札に参加したい法人や個人は、その入札案件を発注している自治体や団体(発注機関)の入札参加資格を、必ず取得する必要があります。

例をあげると、東京都が発注する入札案件、例えば、都の施設の修繕工事や、都立学校に納める備品の販売などを、東京都から受注したい場合、いきなり東京都にいって「当社で工事をさせて下さい!」「当社の備品を使って下さい!」といっても、仕事を取ることはできません。東京都から仕事をもらうには、東京都の入札参加資格を取得し、都の入札に参加する資格がある業者であることを証明できなければならないのです。

入札参加資格とは

入札参加資格を取得すると、多くの場合、その自治体の「入札参加資格者名簿」に載ることになります。その為、この入札参加資格を得ることを「自治体の名簿に載る」という表現をする場合があります。また自治体によっては、この入札参加資格の申請をすることを「指名願い」や「業者登録」と呼ぶケースもあります。

資格って誰でも取れるの?入札参加資格の条件

入札参加資格は、基本的に難しい資格条件などは課せられていないケースが多く、また公共事業という特性上、法人や個人、また国内企業や海外企業を問わず、広く参加が認められているケースがほとんどです。

しかし入札案件は、税金を使って行われる事業であることから、公平性や品質を担保する目的で、以下のような条件が設けられる場合が多いです。

・暴力団関係者など反社会的勢力ではない事
・税金の滞納がない事
・案件に関する実績や技術力がある事

参加資格取得の条件

上記のような条件が設けられている自治体の場合は、法人であれば法人税や消費税、法人市民税など、個人であれば所得税や消費税、市民税などに滞納があると、参加資格が認められません。また、一定の実績や技術力(許認可や資格者の有無)が求められる自治体の場合、新設法人などでは、参加資格を認められない場合もあります(公共工事など、品質担保が重要な入札案件は、特に実績や資格者の在籍が求められます)。

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知っておきたい入札参加資格の基本知識3選

それでは、入札で失敗しない為に絶対に抑えておきたい、入札参加資格の基本知識を3つご紹介します。入札参加資格の基本的な仕組みをここでしっかりと抑えましょう。

入札参加資格の種類

入札参加資格は、入札案件のジャンルによっておおきく以下の4種類にわけられるケースが多く、参加したい入札案件に応じて、対応する種類の参加資格を取得する必要があります

役務

除草や施設の清掃、街灯や公共設備のメンテナンス、役所窓口の委託(人材派遣)など、サービスを提供する業務を受注したい場合は、この「役務」の参加資格を取得する。自治体によっては委託役務・業務委託などの表現を使用する場合もあり。

物品

役所や病院、学校など、国や自治体が運営する施設や団体に、日用品や機械設備などの物品を販売し納める業務を受注したい場合は、この「物品」の参加資格を取得する。

工事

いわゆる公共工事を受注したい場合は、この「工事」の参加資格を取得する。工事は、公共施設の新築や改修などの建築工事や、道路や下水道の新設や補修などの土木工事など多くの種類があり、それぞれの専門工事に応じた許認可の取得や、資格者の在籍などが資格取得の条件となるケースが多い。

建設コンサルタント

公共工事の設計や測量業務を受注したい場合は、この「建設コンサルタント」の参加資格を取得する。工事同様に、建設コンサルタントの許認可や、建築士などの技術者の在籍が求められる。

参加資格の種類

入札参加資格の「等級」

入札参加資格には、等級(「ランク」や「格付け」という表現も使う)という考え方が存在します。この等級とは、入札参加資格を取得した事業者を、その会社規模や実績などに応じてランク分けを行い、そのランクに応じて、受注できる案件を制限する仕組みです。その為、例えば、等級の低いランクになった場合は、金額の大きな案件は受注できない、という事が起こりえますので、明確に参加したい案件がある場合は、自社がどの等級になるかは、非常に重要なポイントになります

参加資格の等級

等級を設ける理由は様々ですが、主には品質や技術力の担保や、大企業と中小企業の競争回避などを考慮し設けられている事が多く、その為、特に国や都市圏の自治体など、金額規模が非常に大きい案件から小さい案件など、大小さまざまな案件を扱う発注機関では、この等級制度が採用されているケースが多いです。

発注機関によってルールが異なる

入札参加資格の手続きを複雑にしている要因の一つに、発注機関ごとにルールが異なるという点があげられます。入札参加資格を取得する際に、一番注意すべき点も、この発注機関ごとのルールになります。これまでご紹介してきた参加資格の種類や、等級、またこれからご紹介する申請方法やその受付時期などは、発注機関、つまり官公庁や市区町村、外郭団体などによって異なる為、複数の発注機関の参加資格を申請する場合は、発注機関ごとのルールを把握し、それに則って申請を行う必要があります

このルールの違いによって思わぬ落とし穴がある場合もあり、例えば、ある自治体では、「役務」に分類されている業務が、別の自治体では「物品」に分類されており、それを知らずに間違って役務で参加資格を申請してしまった等のミスが起こる可能性が考えられます。

そのような失敗をしない為にも、参加資格は発注機関によって、それぞれルールが異なっているという認識を持つことが重要になります。

入札参加資格の申請方法

入札参加資格を取得するには、発注機関(官公庁や市区町村、外郭団体など)に個別に申請を行う必要があります。入札参加資格は、即日で取得できるケースはほとんどなく、多くの場合は、申請準備に早くても1~2週間ほど、また、申請してから資格取得まで1~2カ月ほどかかるケースが多く、計画的に申請を進める必要があります。初めて入札参加資格申請をする方は特に注意が必要です。

申請から資格取得までの流れ

入札参加資格申請の方法や流れは、発注機関により様々ですが、多くの発注機関では、以下のような流れで行うのが一般的です。

参加資格申請の流れ
STEP
受付窓口および期間の確認

まずは参加したい発注機関の入札参加資格の申請を、どこに対して行い、また受付期間はいつかを確認する。

STEP
手引きの確認・必要書類の準備

受付期間がわかれば、それまでに間に合うように、まずは発注機関が用意している申請の手引きを確認する。また、多くの場合は納税証明書や印鑑証明書などの公的機関が発行する書類や、決算書などの社内書類が必要な為、それらの準備を行う。

STEP
申請書類の作成

申請書類を作成する。発注機関が用意するエクセルやワードの書式や、オンラインの申請システムから必要情報を入力するケースなどが多い。申請書類に記載する内容は、発注機関により様々だが、基本的には会社の基本情報(社名や所在地、代表者、連絡先、沿革など)や、直近の財務状況、案件に関する実績などを記載する場合が多い。

STEP
申請書類の提出

申請方法は多くの場合、紙による郵送申請か、Web上で行うオンライン申請、またはオンライン申請+紙の郵送による方法がとられる。現状では、オンラインのみで完結する発注機関は少なく、オンライン申請の後、前述した納税証明書などは郵送で送る必要があるケースがまだまだ多いのが現状。

STEP
審査・資格取得

申請が完了すれば、発注機関にて申請内容の審査が行われる。審査期間は発注機関によるが、申請受理月の翌月1日や翌々月1日に資格取得となるケースが多い。審査の結果問題がなければ晴れて資格取得となり、発注機関の入札参加資格者名簿に登載される。

申請手続きに必要な書類

入札参加資格の申請に必要な書類は、発注機関により異なりますが、一般的に以下の書類を求められるケースが多く、役所で発行してもらう書類も多いため、準備だけで1~2週間は最低でもかかると想定しておきましょう。

必要書類の例

・納税証明書(国税や県税、市町村税など)
・印鑑証明書
・履歴事項全部証明書(登記簿)
・決算報告書
・許認可の証明資料、資格者証など
・申請書類一式(発注機関の指定様式)

必要書類

【要注意】重要な申請受付時期

入札参加資格の申請において、もっとも重要といえるのが、申請の受付期間になります。入札参加資格は、主に以下の3つの方式で申請を受け付けているケースが多く、参加したい発注機関がどの方式をとっているかをまずは把握しましょう。場合によっては、参加資格の申請を、年に1回かつ数日間しか受け付けていないケースもあり、その場合は、資格の取得が早くても1年後になるような場合もありえます

随時受付

常に申請を受け付ける方式を随時受付といいます。常に入札参加資格の申請を受け付けている発注機関は、随時受付の方式を取っており、この場合は、1年を通して常に入札参加資格を申請・取得できます。

定期受付

入札参加資格の有効期限が切れるタイミング(次年度の更新のタイミング)で、期間を限定して申請を受け付ける方式です。多くの発注機関は、参加資格の有効期限を2~3年にしているため、この定期受付も2~3年に1度の頻度で、期間は1~2カ月程度の間、受け付けられるケースが多いです。定期受付しか実施していない発注機関は、その期間を逃すと、長期にわたって入札に参加できないことになる為、特に注意が必要です。

追加受付

定期受付だけだと、受付期間を逃した場合、次の定期受付まで参加資格を取得できない事になる為、1年に一度や4半期に1度などの頻度で、資格の有効期間内に追加で受付を行う方式が追加受付です。追加受付は、随時受付のように常に申請を受け付けているわけではなく、定期受付同様に受付期間が限定されているため、前もって期間を把握して申請を行う必要があります。

資格取得後の注意ポイント3選

入札参加資格は、取得後の期限管理や、発注機関が設ける独自手続きの対応が極めて重要になります。これらの手続きを失念していた場合、長期に渡り入札に参加できない等、大きな機会損失を被るリスクがあります。特に注意すべきポイントは以下の3つになります。

①期限管理の徹底
②独自手続きの対応
③経営事項審査の継続受審

注意ポイント

①期限管理の徹底

入札参加資格を取得した後、必ず注意しなければいけないのが、資格の有効期限の管理です。入札参加資格には、多くの場合、2~3年の有効期限があります(資格を取得してから2~3年ではなく、発注機関が設定している任意の期間であることに注意)。その為、常に参加資格を維持したい場合は、定期的に更新の申請を行う必要があります。この更新を忘れてしまい、参加資格の期限が切れてしまうと、入札に参加できなくなり、大きな損失につながる可能性もあります(特に定期受付しかしていないような発注機関の場合はリスク大)。

特に複数の発注機関の参加資格を取得している事業者は、発注機関ごとに異なる資格の有効期限を正確に把握しておく必要があり、担当者の責任と業務負担が大きくなりがちです。期限管理の仕組化や、専門家への外注などにより、漏れなく期限管理を徹底できるようにしましょう。

②独自手続きの対応

発注機関によっては、参加資格申請とは別に、定期的に等級の申請(格付申請などとも呼ばれる)や、希望業種の申請を義務付けている場合があります。その場合は、それらの手続きを失念すると、最悪の場合、入札に参加できないケースも考えられ、逸失利益に繋がります。また、これらの手続きは、参加資格申請の手引きなどとは別に、自治体HP上で案内がされているようなケースもありますので、特に初めて参加する発注機関では注意しておく必要があります。

③経営事項審査の継続受審

工事の参加資格を保有し、公共工事の入札に参加する場合、必ず経営事項審査を毎年受審しておく必要があります。仮に、経営事項審査を受審していなくても、入札参加資格の有効期限内は、参加資格が失われることはありませんが、いざ公共工事を落札した後に、経営事項審査の受審をしていない事が発覚すれば、せっかく落札した工事を受注することができなくなります。そうなると入札のやり直しとなり、最悪の場合、指名停止などの処分を受けるケースも想定されます。

また、経営事項審査の有効期限自体も決算日から1年7ヶ月と決まっています。その為、有効な経営事項審査の結果を切れ目なく保有しておくためには、毎年決算日から4カ月以内に、必ず経営事項審査を受審するようにしましょう

※経営事項審査と入札の関係について詳しく知りたい方は「公共工事と経審の関係性を解説」を参照ください

入札参加資格申請にかかる費用

入札参加資格の取得にはどの程度の費用がかかるのでしょうか?基本的に参加資格の申請自体に手数料などを設けている発注機関はなく、資格の申請自体に費用が発生することはありません

ただし、申請に必要な公的書類(納税証明書など)の発行費用は、書類によりますが数百円程度かかり、また郵送申請の場合は郵送代がかかる為、額は少ないながらそれらの関連費用が発生します。

また、参加資格申請は、作業自体が非常に手間で、発注機関によってルールも異なる為、特に複数の発注機関の参加資格を取得している事業者や初めて申請する事業者は、行政書士に申請を委託するケースが多く、その場合は、申請代行報酬として、行政書士へ支払う費用が発生します。 費用は行政書士事務所によりますが、相場としては申請1件あたり4~5万円程度の事務所が多いです。

まとめ

以上、ここまで、入札参加資格について、その概要から申請方法や注意点まで、詳しくご紹介してきました。入札参加資格は、条件さえ満たしていれば、必ず取得できる資格になります。入札に参加したい事業者様は、ぜひこの記事を参考に、資格申請の取得に挑戦してみてください。

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