合併や分割後すぐに入札参加は可能?参加資格の承継について

会社の合併や分割後に、新設会社や存続会社ですぐに入札に参加することは可能なのでしょうか?これはケースによっては可能になりますが、注意すべき点もいくつか存在します。本記事では、合併や分割後の入札参加の流れや注意すべき点を、わかりやすく解説していきます。

目次

会社の合併や分割後に入札に参加する方法は2つ

会社の合併や分割により、新しく設立する会社や、事業を吸収した存続会社で入札に参加する場合、参加までの流れは大きく2つ方法があります。それが、新規で入札参加資格を取得する方法と、消滅会社の入札参加資格を承継する方法です。

※入札参加資格とは、入札に参加する為に、その入札を発注する発注機関毎に取得が必要な資格になります。入札参加資格について詳しく知りたい方は「入札参加資格とは?」を参照ください

①新規で入札参加資格申請をする方法

例えば、会社の合併や分割により、新設会社ができる場合や、存続会社がこれまで入札に参加していなかった場合などは、入札参加資格申請を新規で行い、参加資格を取得する方法があります。もう一方の参加資格を承継する方法と比較すると、手続きが簡易なケースが多いのがメリットですが、最大のデメリットは、資格を取得するまでの間に、参加資格を保有していない期間がどうしても発生する為、その間は入札に参加できない点です。また、発注機関によっては、消滅会社の実績や工事成績を引き継げないケースもあり、その点にも注意が必要です。

②消滅会社の入札参加資格を承継する

もう一つの方法が、合併で消滅する会社や、分割前の会社の入札参加資格を、新設会社や存続会社が承継する方法です。参加資格の承継を行うメリットとしては、参加資格を持っていない空白の期間が発生しないため、合併後や分割後に速やかに入札参加が可能になる点があります(後述しますが、工事の参加資格の場合は空白ができる可能性があります)。

また、発注機関によっては、消滅会社の入札実績や工事成績などを引き継げるケースがある点も大きなメリットとなります。

入札参加資格を承継する際の注意点

このように、入札参加資格の承継にはメリットが多く、積極的に活用したい仕組みですが、注意しなければならないポイントもあります。ここでは必ず押さえておきたいポイントをご紹介します。

参加資格を承継予定の発注機関に必ず事前相談を行う

発注機関によっては、入札参加資格の承継を認めていないところもあります。その場合は、新規で参加資格を取得するしかなく、消滅会社の実績や工事成績を引き継げるかについても、事前に確認をしておく必要があります。また、発注機関によって、参加資格を承継する為の条件も異なりますので、事前に必ず発注機関に承継を行う旨の相談をするようにしましょう

近年では、後継者不足による事業承継が活発になっている背景からも、参加資格の承継を認めている発注機関が多いですが、その中身は発注機関毎に様々ですので、複数の発注機関の参加資格を引き継ぎたい場合は、必ず全ての発注機関に個別に相談するようにしましょう。

※M&Aや事業承継による入札参加について詳しく知りたい方は「入札参加にM&Aを活用する際の注意点!」を参照ください

承継元の会社では承継する事業を廃業する必要がある

合併における消滅会社や、分割における分割会社など、参加資格の承継元となる会社は、参加資格に関する業務の一切を承継先会社に移転させることが必要です。その為、承継元会社では、引き続き同業務を行うことは基本的にはできません。

参加資格の承継を発注機関に申請する際に、承継する参加資格の業務に関する一切が移転していることを発注機関が確認する為に、消滅会社の参加資格の喪失届の提出有無や、合併や分割時の契約書、許認可の移転状況などを報告させ、確認をする発注機関が多いです。

工事の参加資格の場合はより複雑な手続きが必要

工事の参加資格の承継の場合は、より複雑な手続きが必要になります。まず、承継元会社から承継先会社に建設業許可が移転されている、または承継会社の建設業許可が廃業され、承継先会社が建設業許可を取得していることが必要です。また、承継先会社は、合併時経審の再受審も必要になる為、それらの手続きが完了するまで、参加資格の引継ぎが認められない場合は、承継制度を利用しても、参加資格の空白期間がどうしてもできてしまう可能性があります

工事の参加資格の承継は、このように行う手続きが煩雑かつ時間もかかる為、特に事前に入念な準備と計画を立てて進めるようにしましょう。

まとめ

以上、ここまで、合併や分割後の入札参加の流れや注意すべき点をご紹介してきました。分割や合併では、行う手続きが山のようにあり、入札や許認可に関することはどうしても手が回らず、後から問題が発生しがちです。事前に発注機関や、許認可の許可行政庁と、計画をすり合わせ、滞りなく手続きが進むように調整をしておくことが重要になります。

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