東京都は、国内の自治体の中でも、最も魅力的な入札市場であり、数多くの入札案件が日々発注されています。東京都の入札に参加したいけど、参加の仕方がわからない!という方に向けて、本記事ではどこよりも分かりやすく、東京都の入札に参加する方法を解説していきます。
東京都の入札の特徴
東京都の入札に参加を検討している皆様に向けて、まずは東京都の入札の主な特徴をご紹介していきます。
全国トップクラスの豊富な案件数
日本の首都である東京都は、全国でトップクラスの入札案件数を誇り、月によって変動はあるものの、常時月間1000件以上の入札案件が日々発注されている、非常に魅力的な入札市場です。東京都内に拠点を持たない企業が参加できる案件もあり、地方企業にもチャンスが転がっています。
いつでも入札参加が可能(参加資格の有効期限は最大2年間)
東京都は入札参加の為の手続き(入札参加資格申請)を常時受付けている為、入札に参加したいと思ったら、あくまでも最短の場合ではありますが、1~2カ月ほどで参加資格を得ることが可能です。自治体によっては、参加資格申請の受付を2年に1回しかしていないようなケースもありますが、いつでも門戸を開いている点が、東京都の入札の魅力の一つです。なお、東京都の入札参加資格(参加者名簿)は2年度毎に更新される為、一度参加資格を取得しても、2年に1回は更新申請を行う必要があります。
※次回の更新時期は令和6年秋頃(令和5年10月現在)
新設法人は参加できない
東京都の入札は、決算を少なくとも1回以上むかえていないと参加ができません。その為、設立間もない会社は、残念ながら参加することができません。決算期を1回でも迎えて決算書類が確定していれば良い為、設立後、決算日をすぐに設定することで、より早く入札に参加することが可能になります。
入札参加には電子証明書の取得が必須
東京都の入札に参加する為には、電子証明書が必要になります。電子証明書とは、オンラインでの取引等において、第三者(認証局)が本人であることを電子的に証明するもので、書面取引における印鑑証明書にあたるものです。電子証明書の発行には、都が指定する民間業者に発行の申請を行い、ICカードを交付してもらう必要があります。この電子証明書がなければ、入札参加資格申請や、入札の札入れが出来ない為、都の入札に参加したい場合は、まずは最初に、電子証明書の取得から始める必要があります。
東京都の入札に参加するまでの流れ
東京都の入札に参加したい場合、大きく3つのステップを踏む必要があります。まず1つ目が、入札案件を調べるというステップです。入札は、取りたい案件の内容が具体的であればあるほど、それに備えた正しい準備ができる為、競合他社よりも有利に動くことができます。また、もし自社に参加可能な案件がなさそうであれば、そもそも入札に参加するメリットはありません。東京都のような、案件数が多く、競合他社も多い入札市場においては、この案件を調べるステップが、入札で成果をあげる為の最も重要な作業といっても過言ではありません。
そして、挑戦したい案件が見つかり、入札に参加することを決めた後は、次のステップとして、入札に参加する為の手続きを行う必要があります。入札案件は、税金を使って行われるため、発注先の会社が入札案件を受けるに相応しい会社なのかを、判断しなければいけません。その為に、入札参加資格申請という、入札に参加する業者の財務状況や案件の実績、納税状況などを確認する審査を、各自治体は行います。東京都も例外ではなく、東京都の入札に参加する為の手続きとして、東京都の入札参加資格申請を行う必要があるのです。
入札参加資格申請が完了すれば、いよいよ3つ目のステップである入札への参加となります。日々、案件をチェックし、入りたい案件の発注があがれば、必要な書類を入手し、見積もり作業を行い入札価格の決定をします。決定した入札価格をもって入札に参加し、最も有利(安価)な条件を提示できれば、晴れて入札案件の受注となります。
東京都発注の入札案件の調べ方
それでは、東京都発注の入札案件はどうやって調べれば良いのでしょうか?東京都の入札案件はインターネットで見ることができます。まず、東京都が運営する「東京都電子調達システム(外部サイトに飛びます)」内の「入札情報サービス」のページにアクセスします(下記画像参照)。
そして、入札情報サービス内の「年間発注予定情報」「発注予定情報」「入札(見積)経過情報」「入札結果一覧」の各ページで案件を検索することが可能です。それぞれのページで検索できる案件や、各ページの使い方は以下の通りです。
①年間発注予定情報
今年度内に発注予定のある「工事」の案件が確認できる
②発注予定情報
現在、参加希望申請を受け付けている物品から工事まで全案件が確認できる
③入札(見積)経過情報
既に入札が終了し、結果が出来ている物品から工事まで全案件が確認できる
④入札結果一覧
既に入札が終了した、「工事」の案件のみ確認できる
各ページに入ると、どのページも検索画面が出てきますので、そこで任意の条件を設定し、案件を検索します。出てきた案件一覧から詳細を見たい案件をクリックすることで、案件の詳細情報を確認することが可能になります(下記画像は、「②発注予定情報」の検索画面)。
参加したい案件の業種(営業種目)は何かを確認する
東京都の入札案件は、その業務内容によって様々な業種にわかれている為、入札情報サービスでの案件検索も、見たい業種(営業種目)に絞って検索出来れば効率よく案件を調べることができます。まず大きく「工事」と「物品等」の2種類にわかれており、工事はさらに、それぞれ専門工事や建設コンサル業務(設計や測量)毎に細かく業種が分かれています。物品等は、「物品(の販売)」と「委託(役務の提供)」の2つに大きく分かれており、その中で、さらに業務内容によって細かい品目にわかれます。
全ての業種(営業種目)を確認したい場合は、「東京都入札情報サービス(外部サイトに飛びます)」から「入札参加資格関係」のページに移り、「参加資格申請の手引き」をクリックし、工事は「別表」のPDFで、物品等は「格付け基準・営業種目一覧表」のPDFでそれぞれ全ての種目が確認できます。
東京23区やその他都内市町村、外郭団体の発注案件は別サイトに
ここで紹介しました「東京都電子調達システム」内の「入札情報サービス」で見れる案件は、東京都発注の案件になります(警視庁や東京消防庁等も含む)。その為、東京23区や、その他都内の市町村の発注案件は、また別のサイト(東京電子自治体共同運営 電子調達サービス)で調べる必要があります。
また、東京都が出資する公益法人や会社法人といったいわゆる「外郭団体」(公益財団法人東京都中小企業振興公社、株式会社ゆりかもめ等)の発注案件についても、別サイトで確認する必要があります。
入札に参加する為の手続き
東京都の入札に参加することを決めたら、入札に参加する為の手続きを行う必要があります。東京都の入札に参加する為には、東京都に対して入札参加資格申請をする必要があります。物品等の場合は、東京都の入札参加資格申請をすぐに行えますが、工事の場合は、まず建設業許可の取得を行ってから、経営事項審査という手続きを受審し、そこから初めて入札参加資格申請を行うことができます。その為、工事の場合は、最大で半年程度は入札参加の手続きに日数を要する可能性があります。
東京都の入札参加資格申請の概要と流れ
それでは、東京都の入札参加資格申請の概要と流れを見ていきましょう。東京都の参加資格申請の特徴の一つに、電子証明書の取得が必須である点が挙げられます。この電子証明書は、Web上の印鑑登録証明書のようなもので、利用する為にはICカードを取得しなければいけません。それでは、一から順を追って手順を開設していきます。
まず、申請の事前準備として、電子証明書を取得する必要があります。電子証明書の取得は、都が指定するいくつかの民間業者から、任意の業者を選択し、そこから購入します。購入時には、法人であれば履歴事項証明書と印鑑証明書、代表の住民票と印鑑証明書などが必要になり、個人であれば印鑑証明書と住民票などが必要になります。
電子証明書を申し込むと、購入した民間業者からICカードが発行されます(併せてカードリーダーも購入します)。そのICカードを利用し、Web上で電子証明書を利用するのですが、カードの利用をする為に、使用するパソコンにシステムをインストールし、環境設定を行う必要があります。
パソコンでのセットアップが完了したら、次は、東京都電子調達システムに、自社の電子証明書を登録します。一度システムに登録をすれば、次回からは、ICカードを使用して、東京都電子調達システムに自社としてログインが可能になり、参加資格申請や入札の札入れがシステムから行えるようになります。
東京都電子調達システムに電子証明書の登録が完了したら、次は、システムの参加資格申請ページから、参加資格の電子申請を行います。申請ページで、会社情報や、参加をしたい業種や品目、会社の売上高や納税額、業務実績などを入力し、入力内容に間違いがないことを確認後、データの送信を行います。
電子申請が完了したら、必要書類をシステム上で送付します。必要書類は、財務諸表や履歴事項全部証明書、許認可に関する書類など、電子申請の内容によって多少異なります。書類の電子送付まで完了すれば、こちらで行う作業は終了になります。
書類の電子送付が完了次第、東京都の方で申請内容の審査が行われます。審査はおおむね2、3週間で完了し、審査結果は、システム内で随時確認することができます。
審査の結果、内容が承認されれば、東京都の入札参加者名簿に自社が登載され、晴れて参加資格の取得となります。名簿への登載日は決まった日がある為、審査完了後に即日で名簿に登載されるわけではない点に注意しましょう。
東京都の入札参加資格申請で注意すべきポイント!
東京都の入札参加資格申請をする際に、押さえておくべき注意点をご紹介します。これを知らずに申請を行うと、希望の入札に参加できなくなる可能性もありますので、必ず事前に理解しておきましょう。
資格適用開始日(名簿登載日)が決まっている
入札参加資格申請は、随時受付をしていますが、申請をして審査が完了すれば、即日で資格者名簿に載る(資格を取得できる)わけではありません。名簿登載日は各月の1日と決まっており、つまり年に12回しか記載日がなく、また、その日に乗る為には、前月の10日前後までに電子申請を完了され、同月の20日前後までに審査が完了し承認されている必要があります。明確にいつまでに資格を取得したいという要望がある場合は、スケジュールを逆算して、計画的に申請を進める必要があります(下記参考画像は、令和5年度の資格適用日と申請受付期日及び締切日です)。
営業種目の変更や追加ができない
取得した資格の営業種目や取扱品目については、登録後に変更や追加することはできません。つまり、資格は最大2年間有効ですので、最大で、2年間はその営業種目と取扱品目の入札案件にしか参加できないことを意味します。あとから、この入札案件にも参加したいから、この営業種目も追加して資格を取る、という事が出来ないのが、東京都の入札の大きな特徴です。申請前に、慎重に参加する営業種目について検討し、選択を行うようにしましょう。
等級も2年間変わらない
東京都の入札参加資格は、申請が承認された時点で、等級というランクが業者に付与されます。この等級によって参加できる案件の規模が変わってくるため、業者にとって等級は非常に重要なものになります。等級は、申請が承認された時点で確定し、その後、資格の有効期間中は更新されることはありません。その為、最大で2年間は同じ等級で入札に参加をしなくてはいけません。
等級は、申請日の直前年度の売上実績などで決まってくるため、新しい決算期まで待って申請をした方が上位の等級になる場合は、急いで申請をするよりも、決算を待ってから申請をした方が、上位の等級で入札に参加できることになります。自社がどの等級になるのかを事前に計算し、希望の等級に格付けされるかどうかを、必ず確認するようにしましょう。
東京都の入札に興味ある方はぜひご相談ください
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。東京都の入札のことは分かったけど、手続きが難しそうだなと感じられた方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。当事務所、長﨑行政書士法人は、入札参加資格申請を専門とする行政書士法人で、これまでも多くの会社様の参加資格申請をお手伝いしてきました。最短で確実な入札参加のお手伝いをさせて頂きますので、ぜひお気軽にご相談ください。