入札参加にM&Aを活用する際の注意点!参加資格も承継できる?

近年、入札への参入手段として、M&Aを活用する事例が増えており、当事務所でもM&Aに絡む入札のご相談が増えております。M&Aにより入札に参加する場合、気をつけなければいけないポイントがいくつかあります。本記事では、入札参入手段としてM&Aを活用するメリットや注意点を、わかりやすく解説していきます。

目次

入札参加の手段としてのM&A

入札に参加した事がない企業が、入札に強い企業をM&A(買収)し、入札に参加する事例が近年増えています。これは、後継者不足により、入札に強く黒字経営をしている企業でも、M&A市場で売りに出されているケースが増えている事や、法改正などにより、許認可の引継ぎが円滑にできるようになった事などが影響していると考えられます。それでは、実際にM&Aによる入札参加は、買い手企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

実績を引き継げる為すぐに入札参加できる

M&Aにより入札に参加する最大のメリットは、買い手企業が、売り手企業の入札実績を引き継げるという点です。 入札に参加するには、入札を発注する発注機関(官公庁や自治体)の入札参加資格を取得しなければいけません。その際に、発注期間によっては、参加したい入札業務の実績を求めたり、実績に応じて等級と呼ばれるランク分けをするケースがあります(このランク分けによって、参加できる入札案件の金額が決まってきます)。

※入札参加資格について詳しく知りたい方は「入札参加資格とは?」を参照ください

また、入札案件によっては、過去にその発注機関の仕事を受注した実績がないと参加出来ないようなケースも多くあります。そのような条件がついている案件ばかりの自治体では、入札に初めて参加する企業は、非常に案件を受注するのに苦労することになります。

M&Aにより、買い手企業の入札実績を引き継ぐことができれば、今上がったような課題を一気に解決する事ができ、すぐに希望の入札案件に参加することも可能になるのです。

M&Aにより入札参加する際の注意点

M&Aを活用して入札に参加する場合、気を付けるべき点がいくつかあります。多大なコストがかかるM&Aでは、小さな失敗も大きな損失に繋がってしまいます。円滑な入札参加を実現するために、必ず押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

入札参加資格を引き継げるか

売り手企業の入札参加資格を、買い手企業が引き継げるかは、非常に重要なポイントになります。参加資格の引継ぎについては、発注機関によって制度が異なりますので、必ず事前に引継ぎが可能かを確認する必要があります

参加資格の引継ぎが認められていない場合は、M&Aが完了してから、買い手企業が入札参加資格申請を新規で行う必要があり、その間は、その発注機関の入札に参加できないことになります。

また、参加資格の引継ぎが認められている発注機関であっても、その条件やルールは発注機関ごとに異なりますので、事前に希望する条件で引継ぎが可能になるのかを、しっかりと調査しておく必要があります。

許認可を維持できるか

売り手企業の保有する許認可を、買い手企業が買収後も維持できるかも、非常に重要なポイントです。例えば、公共工事に参加する為には、必ず建設業許可を取得している必要がありますが、建設業許可は人の要件があり、M&Aにより売り手企業の技術者や役員が退職し、許可要件を欠いてしまった場合、買い手企業側の人員では、許認可を維持できないという事態に陥るケースがあります。

せっかく許認可を取得している企業を買収しても、買収後に許認可が失効してしまっては、元も子もありません。M&A後も許認可を問題なく維持できるかの調査や、体制の構築を、計画的に進める事が重要になります。

キーマンの退社がないか

入札には、先ほどの許認可の要件になっている技術者や役員だけでなく、一般社員であっても、入札参加手続きの担当者や、入札落札のカギを握る見積もりの作成者など、入札業務にかかわるキーマンが存在しています。M&A後に売り手企業側の人員が大量退職した、というケースはよくあることですが、入札業務のキーマンがいなくなれば、せっかく入札参加の権利を手にしても、実際に案件が取れないという事態に陥ってしまいます。

入札業務に関する引継ぎが、確実に行えるよう、キーマンの把握と人員の確保は、特に注意深く行う必要があります

まとめ

以上、ここまで、入札参加の手段としてM&Aを活用するメリットや注意点について、ご紹介してきました。M&Aを活用した入札参加は、大きなメリットがある一方で、想定外の事態がおき計画した入札に参加できなかった場合などは、大きな損失につながるおそれがあります。本記事でご紹介したポイントを参照に、事前に売り手企業や発注機関と十分な情報共有やすり合わせをしながら、M&Aを進めるようにしましょう。

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